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【ぽうひん・へいゆん】
<アスター>
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●エリア：九龍・油麻地
●所在地：彌敦道380號
（現在は「逸東酒店（イートンホテル）」「普慶廣場（アスタープ
ラザ）」のコンプレックスビル）
●座席数：1階 1254席／2階 534席 計1788席
●変遷：90年オープンの普慶廣場内に規模縮小で新館で存続
●写真中の映画の看板
上映中：『所羅門王寶藏 (King Solomon's Mines)』
監督＝Ｊ・リー・トンプソン
主演＝リチャード・チェンバレン／シャロン・ストーン
近日上映：『天繭 (COCOON)』
監督＝ロン・ハワード 主演＝ドン・アメチ
近日上映：『玉卿嫂』(JADE LOVE)
監督＝張毅 主演＝楊惠珊
 〔普慶戲院 看板拡大〕 〔普慶戲院 more〕 |
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初めての香港でホテルに到着した深夜 学芸員Ｋが
部屋の窓から見下ろした「李察張伯倫」と「莎朗絲頓」
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このギャラリーの写真を撮影した1986年3月、初めての香港で泊まったホテルは、油麻地の彌敦道に面したフォーチュナホテルという中級ホテルでした。
啓德空港からタクシーでこのホテルに来て、チェックインを済ませて部屋になんとかたどり着き、ほっとひと安心して窓のカーテンを開けて下を見たら、彌敦道を挟んで斜め向かいに、この普慶戲院の映画の看板があったのでした。
街の景色の要素として、映画の看板は大変重要で楽しいものだ思います。学芸員Ｋがはじめての香港で心躍らせたのがこの普慶戲院の看板です。
香港映画の看板ではなかったのが残念でしたが、それでも漢字による当て字が、初めての海外旅行のオノボリ野郎にとっては非常にインパクトが強かったのでした。あまりにも嬉しくてさっそく部屋に備え付けの絵葉書に「向かいの映画館の看板の当て字は「李察張伯倫」と書いてリチャード・チェンバレンと読みます！」と書いたのでした。ちなみに共演はその当時はまだブレイク前の莎朗絲頓＝シャロン･ストーンです。
香港の映画館の看板は、現在では極めて小さなものになってしまいました。中には壁のショウケースに小さなポスターを入れただけの映画館もあります。香港の街の景色の中に占める「映画」の地位は劇的に低くなってしまいました。
しかし、86年当時の香港では、この普慶戲院に限らず、手書きのペイントによる看板が各映画館に大きく掲げられていました。普慶戲院の場合は、ビルの左右めいっぱいに３つの映画の看板で飾られています（これは、現在のシネコンのように「ただいま３つの映画を上映中」ということではなくて、ひとつの映画館の現在上映、次回上映、次々回上映の３本の映画の看板ということです）。
当時、香港で一番の目抜き通りである彌敦道を歩くと、大通りの両側のあちこちに映画館の看板がありました。そして香港のごった煮の街の景色に、さらにダメ押しのように彩りを添えていたのでした。
それだけではありません。当時の香港では、映画館以外にも、ビルに大きな映画の手書きペイントの看板があるのをよく見かけました。たとえば佐敦の裕華デパートの佐敦道をはさんだ向かいにワトソンズがありますが、かつてこのお店の出入り口の上には、大きな映画の看板があったのでした。彌敦道と佐敦道が交わる交差点といえば、九龍の街のいわば花形的スポットです。この交差点の角地にあるビルに、大きな映画の看板が出ていたのです。
映画の看板は２～３週間に１回の割合で変わりました。だからこの交差点の映画の看板の変化が、佐敦の街の景色に変化を与えていたのでした。
残念ながらこの普慶戲院には滞在中は香港映画を上映していなかったため学芸員Ｋが入ることはありませんでした。座席数なども不明です。改築後の新生普慶戲院には入ったことがありますが、少なくともかつての普慶戲院のほうが確実に大きな映画館であったと推測されます。
* * *
上の文をアップしたあと、『香港影業視百年』という資料入手によりこの映画館の座席数が判明しました。85年のデータによれば、その数、実に1788席です。「少なくともかつての普慶戲院のほうが確実に大きな映画館」どころか、86年当時、もっとも座席数の多い映画館だったということになります。こんな大規模館だとは思ってもみませんでした。驚きました。願わくば嘉禾院線（ゴールデンハーベスト作品の上映チェーン館）の映画館として香港映画をやってほしかったところです。
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| 〔看板拡大〕 〔普慶戲院 more〕 |
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